その小さな箱の中に、私は願いを込めた。
夢で見た。
涙を流した。
泣き叫ぶ子供だ。
手を、差し伸べて欲しかった。
小さな箱は、そとに繋がっている。
箱へと込めた内なる想いが
矛先を変える。
放たれた想いは、けれど確実に私に繋がっている。
離れた位置から、自分の思いを振り返る。
私は。
あのこの笑顔が見たかった。
あのこの涙を止めてあげたかった。
あの人に逢いたかった。
あの歌を聴いてみたかった。
満開の桜を、一緒に眺めたかった。
手を差し伸べてあげたかった。
願い。
小さな箱のふたを開ける。
願い事のひとつひとつを確かめるように。
そこにある、願い事が叶うように。
別の箱から、私は願う。
あの頃の願いを包み込むように。
ちいさな私に、手を差し伸べる。


2003/9/22




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