星への扉
2005/4/14 のまなろぐを改訂
2005/5/30up
出かける先にプラネタリウムがあれば行きます。 プラネタリウムのために出かけることもあります。 私がプラネタリウムに求めているのは、本当の星空でも、 本当に繋がる星空でもないです。 星を見に行くのですが、見ているのは、そのもっと向こうの、 いつか見た空です。 星など見ようと思わなくても、いつでも頭上で輝いていて、 部屋の窓から、庭から、帰りの自転車こぎながら、いつでもあった、 当たり前のもの。 東京で暮らすようになり、星が見たくても見れなくなった。 思い出すのは、いつもの道でいつも見ていた帰り道の、あの星空。 庭に寝転んで家族で見上げた、あの星空。ラジオを聞きながら、 「人間の子供」をBGMに見上げた、あの星空。 冬場、いつでも輝くオリオン座。藍色の中の一番星。 黒い夜に吸い込まれそうな感覚。黒から緑に変わる、夜更けの星空。 白鳥は大きく羽ばたき、こと座が輝く。天の川が普通に見えていた、 あの星空。 同じ時間、同じ道を通り、ちょっとづつ高くなる星座達に季節を感じる。そんな、あの頃の星空。 私がプラネタリウムを見て、光の星のその向こうに見ているのは、 あの頃の星です。 五島プラネタリウムは、私が初めて見た千葉のプラネのように、 黒く、同心円で、あたたかい。大きさもかたちも全然違うけど、 五プラのあたたかさはそのまま「懐かしさ」に変わる。 懐かしい星空。それがまたあの頃の星空へ変わる。 五プラがなくなり、あの頃へ続く星空を探しに、いろんなプラネに 行ってるのかも知れない。 あの頃。 実家へ帰っても、昔ほど多く星は見えない。 年々落ちていく私の視力と、年々明るくなる外の景色。 街灯が新たに作られ、あのたった一つの灯りが、空を白くする。 真っ暗な中に光る街灯は、たった一つでも「まぶしい」と感じる。 点在する家々の明かりの他には、月明かりしかなかった田舎だ。 街灯の存在は、とても大きい。その一つが空までも照らす。 プラネタリウムの星にあの頃を求めている。 しっくりくる星には、まだ出逢えていない。 あたたかさに包まれる星は、今は光を失ったツァイスやイエナの 特権かしら。 明石の星をまだ見てないので、絶対見よう。 まだ輝いている星を見よう。 今年は見れる。見に行けるから。 |